ウルセラとサーマクールの効果の違い
ウルセラに代表されるHIFU治療とサーマクールに代表される高周波治療
共通点、効果の違い、たるみにはどれがよく効くのか、価格の違い、価格は何が安いのか、コストパフォーマンスはどれが良いのか 、ダウンタイムや痛みの違いついて現役美容外科医とエンジニアが解説します。
ウルセラとサーマクールの共通点
ウルセラに代表されるハイフ(HIFU)治療ももサーマクールに代表される高周波治療もたるみに対する
リフトアップのレーザーです。(厳密にはどちらもレーザーではありませんが、わかりやすくレーザーと表現します。)
どちらも、熱で皮膚の下を焼いて、キュッと縮むことでリフトアップすると言う意味では同じような治療です。
またどちらも元々はガン治療で使われていたの技術の転用です。
ウルセラとサーマクールの効果の違い
まず効果について見て見ましょう。
リフトアップの効果でいうとウルセラ(HIFU)>>サーマクールです。
HIFUの技術は狙ったところを作用させるのに適しています。
つまり、ここを照射すればリフトアップになる!という場所をピンポイントで狙えるのです。
一方高周波であるサーマクールは皮膚直下の脂肪にしか作用させることができません。
ウルセラとサーマクールの価格の違い なぜサーマクールは安いのか
では価格はどっちの方が高いでしょうか?
現状では価格は HIFU>サーマクールとなっています。ハイフ(HIFU)の方が価格は高いです。
その理由はHIFUの登場により、サーマクールが高い金額で売れなくなったからです。
世界的には、サーマクールは完全に過去のものとなっていて、むしろ日本のようにまだ使っている国の方が
珍しいです。
ダウンタイムの違い
ダウンタイムはどちらもほぼないのですが、
HIFUは強く照射すると、腫れが出ることがあります。
体質や照射する強さによっては長くて1週間ほどつ続くとがあります。
痛みの違い
痛みはどちらも骨に近いところでは痛いです。
さらに詳しく理解したい人は下の解説を読んでください。
ウルセラとサーマクールの違いについて もっと深く知りたい方へ
サーマクールはガン治療の医療機器ハイパーサーミアの技術の流用でRF波を利用しています。
ウルセラも同じくガン治療の医療機器Sonablate(HIFU)の技術を流用で超音波を利用しています。
たるみに対するリフトアップの治療効果はウルセラの方がサーマクールよりも高いです。
ではなぜなのかを見ていきましょう。
■タンパク質から見たサーマクールとHIFUの違い
タンパク質という視点から見ると超音波もRF波も作用はタンパク質の熱変性で、その結果起きるのが収縮です。
つまり、たるんだ皮膚、筋膜が熱で収縮して、それが結果として、引き上がったように(リフト)見えるのです。
熱変性を起こしたタンパク質は三次元構造が壊れ保水性を失います。
その結果として収縮を起こします。
このタンパク質変性の過程は、超音波もRF波も同じです。
その収縮の強さが”引き上げ”や”引き締め”という風に表現されるだけです。
サーマクールは効果が弱いから”引き締め”と表現され、HIFUは効果が強いから”引き上げ”と表現される。
しかし、科学的にはどちらも”引き締め”であり、表現を変えているのは商業的な理由だと私は考えています。
図のように超音波もRF波も1分子あたりのエネルギーが低いため、タンパク質に対するは働きかけは熱作用しかありません。
これについての詳細は、技術の詳細ページを参考にしてください。
つまり、タンパク質から見るとRFでも超音波でも、図のようにタンパク質の三次元構造は変化して白濁現象がおきます。
では、サーマクールとウルセラに代表されるHIFUではなぜリフトアップの効果が違うのでしょうか?
■サーマクールとHIFUの違い
サーマクールで使用される高周波はRF波と呼ばれ、高周波誘電加熱と呼ばれる加熱原理を用いています。
この原理は、ハイパーサーミアや冷凍肉の解凍で使用されます。
このRF波は電気抵抗の違いにより、皮膚の直下の脂肪がもっとも加熱されます。
一方、HIFUは集束超音波と呼ばれる超音波を使った治療で、狙ったところに超音波を集めて、
ピンポイントで作用させることが可能です。
HIFUもサーマクールも収縮効果しかないのですが技術として、HIFUの方がより狙った組織をだけに作用させるのに長けています。
これを我々は空間選択性の高さと呼んでいます。より強いエネルギーを 一番作用させたい組織に送りこめるのです。
これがHIFUとサーマクールの一番大きな差であり、効果の違いの原因です。
■RF治療の2つの欠点
サーマクールに代表されるRFの治療には2つの欠点があります。
1つ目は、端子と接触する皮膚が火傷を起こしやすいことで、2つ目は、骨周囲で高周波が収束するため激しい痛みを伴うことです。
今は、HIFUの加熱制御が進化しているため、RF波を使ったサーマクールは浅い層をターゲットにしたHIFUによって代用されています。
現に海外ではサーマクールは完全に淘汰されており、全然使われていません。