ハイフ リフトアップの効果を科学的に分析

ハイフ リフトアップの効果を科学的に分析

ハイフ(HIFU)の生体組織(顔の皮下組織)への影響について科学的に説明します。

ハイフの効果として現れるリフトアップは熱的作用の熱凝固という生理学の変化による結果です。

 

ハイフ(HIFU)が組織に及ぼす影響として熱的作用、キャビテーション (気泡形成)、その他(照射圧力、粒子運動、液体流動など)があります。

その うち、美容医療で使われるハイフの作動原理に関連の深い熱的作用について、説明します。

1 熱的作用

ハイフ(HIFU)による治療において、超音波エネルギーの熱への変換が組織の焼灼を 引き起こす最も有力な現象であります。

超音波が組織中を伝播すると超音波エネルギーは吸収、 散乱等により減衰していきます。

超音波エネルギーが吸収されると分子運動に変換され熱を発生 します。

ハイフ(HIFU)照射で超音波が集束する焦点 領域では、エネルギー密度が最高となり組織に影響を及ぼす閾値を超えた温度上昇となります。

生体組織の温度が必要十分な時間、高温に維持されると蛋白変性、細胞壊死がおこり、その 細胞は死滅します。

この現象を「サーマルアブレーション(熱凝固)」と呼びます。

細胞壊死の閾 値は到達温度とその温度に保つ時間の組み合わせであり、熱凝固を引き起こすために

高温で 短時間(強火でさっと焼くイメージ)

又は低い温度に長時間(弱火でじっくり焼くイメージ)

というような選択肢があります。

具体的な理論と計算について。

組織の熱凝固・熱損傷と温度の関係に関する研究の結果、温度と組織壊死に必要な温度と照 射時間に関する関係曲線があります。

細胞組織を 100%壊死させるのに要するエネル ギー線量(dose)を算出するために S.A.Separeto and W.C.Dewey の式が開発され、時間-温度プロフィールに基づいた細胞壊死を引起すのに必要な照射エネルギー「熱線量 thermal dose」を算出することができます。


ここで、t43 は thermal dose(43°Cにおける相当温度)、T は時間⊿t 間における実際の平均 温度、R は定数で 43°C以上のとき 0.5、43°C未満のとき 0.25 です。

43°C×240 分が生体組織に対する熱線量臨界値で、細胞組織を死滅させる閾値であることが 経験的に知られています。前述の S.A.Separeto and W.C.Dewey の式により、いかなる温度に おいても細胞死滅を達成するために要する時間 t の理論値を計算することができます。

この式の意味は

43°C以上では,温度が 1°C上がるごとに細胞死の速度が約 2 倍になり,43°C 以下では,温度が 1°C下がるごとに細胞死の速度が約 1/4 倍になります。

1度温度が上がるにつれ、必要なハイフの照射時間が半分ずつになっていくということです。

 

たとえ ば、51°Cにおいて熱線量閾値に達するためにはその温度を 55秒間持続する必要があり、52°C

では半分の28秒、さらに57°C においては 1 秒間で十分であることがわかります。

この計算式は、ハイフの音圧や照射時間の設定にとって非常に重要です。

次に熱凝固について考えましょう

これはハイフの効果や持続期間を考える上でとても重要なことです。

 

組織熱凝固生理学

上の動画ではスーパーで売ってる豚肉なので、焼かれて変性したところは永遠に白いのですが、

人は生きてる組織なので、色々変化が生じます。

ハイフ(HIFU)照射によって、焦点領域の組織には熱凝固が生じます。組織凝固の結果として、

タンパク変性及び細胞壊死が引き起こされます。 焦点領域から周辺の低温領域にむけて熱は徐々に熱伝導 するため、同心円状に熱損傷領域が見られます。

 

1構造タンパク質の変性 (熱凝固)

2活性酵素蛋白質の変性

3その他の熱的損傷を示す現象

 

<構造タンパク質変性>

構造タンパク質は細胞外のマトリックスと全細胞の細胞骨格を形成するタンパク質であります。

構造蛋白 質の熱的変性は複屈折性の変化とガラス質化を示すコラーゲンの変性、筋肉細胞複屈折性の 変化、及び細胞収縮などを引き起こします。

<活性酵素蛋白質の変性>

基本的な生命のプロセスに必要な酵素の熱的変性は構造タンパク質のそれと類似していますが、構造タンパク質よりも低温で、短い加熱時間で発生するため、この効果は損傷領域の周辺で 見られます。

<その他の熱的損傷を示す現象>

生きている、あるいは生き延びている物質内にみられる熱的損傷を示す現象には明らかに赤い熱 的損傷領域、組織壊死および創傷治癒が含まれます。明らかに赤い熱的損傷領域は、血液が供 給されて生きている組織に形成される熱的損傷の中にある白い凝固領域の近隣に 30 秒から 2-3 分で形成されます。この赤い領域は血管への熱的損傷と加熱作用への生理学的な血管の反 応、すなわちうっ血、出血、異常高温などの複合した現象によって形成されます。

このような熱的損傷を被った組織が壊死に至るメカニズムには、一般的に4つあると言われています。

i) 熱凝固壊死

ii) 熱に起因する分解壊死

iii) 虚血性壊死

iv) アポトーシスの 4 つのメカニズムに分かれます。

 

i) 熱凝固壊死

熱凝固壊死は構造蛋白質と活性酵素の直接的な熱凝固によって起こる。従って、凝塊の中

心付近に存在する細胞と組織は、治療照射直後に死滅します。

ii) 熱に起因する分解壊死

熱に起因した分解性の壊死は、組織を消化する分解酵素を放出する細胞小器官の相対的に 低い温度における破裂によるものであり、更に壊死を作ろうとするプロテアーゼとリパー ゼを放出する炎症性細胞によっても分解壊死は発生する。iii) 虚血性壊死 虚血性壊死は、熱的損傷をうけた血管における閉塞性血管内血栓及び熱によるうっ血によ って血流が妨害されることにより発生します。血流阻害は末梢血管組織における虚血、そし て限局的な組織死滅を引き起こす。虚血が生じることで、炎症細胞とそれらの分解酵素を 取り入れようとする血管系の反応及び一連の炎症連鎖が促進させます。

iv) アポトーシス
アポトーシスは全く異なるタイプの細胞死で、通常治療の 24 時間以内に発生します。熱は、 他の化学的・生物学的・物理的損傷と同様にアポトーシスを引き起こし得る要因であり、 特に遺伝子的にプログラムされた細胞における細胞分裂と核分裂を誘発するに足りるエ ネルギーを要する現象です。すべての細胞がアポトーシスを起こすわけではない。熱焼 灼が生じる状況では、それに伴う血流の阻害領域が、血流の喪失による生命維持に必要な 物質と栄養物の欠如によって引き起こされ易いアポトーシスの領域と重なります。

2 凝固した組織への生体の反応

集束超音波治療による熱凝固を生じた組織の創傷治癒プロセスには以下の段階がある。

1壊死片の組織化
2 組織再生
3瘢痕組織形成と収縮

<壊死片の組織化>

ハイフの照射による創傷治癒がおこる前に、ハイフ照射によって焼かれた組織(壊死した脂肪や筋膜)は体内から排出される必要があります。そのために、生体は焼かれた組織を小さく分解していきます。

最初は白血球が損傷組織に集められて、組織の分解や処理を行います。

小さい組織は血流に吸収させていきます。

大きい成分はマクロファー ジ細胞に食べられます。

生理学的には、熱的損傷の組織化は治療後一日から一週間の間に始まります。

これがハイフの後、次の日から腫れるという現象の理由です

ハイフの焼かれた皮下組織はマクロファージに食われ るか、再生組織に置き換えられるまで熱的損傷にとどまるか、数週間かけて瘢痕となります。

 

<組織再生>

組織再生は種々の成長因子が作られるところから始まります。

血管と繊維芽細胞の成長因子は再 生した上皮組織に栄養を供給し、新生血管細胞や繊維芽細胞増殖、コラーゲン形成を促進します。簡単にいうと組織を再生させていきます。

<瘢痕組織形成と収縮>

顔の皮下では、瘢痕組織が作られていきます。血管と繊維性肉芽組織の形成が始まります。

新しい瘢痕組織は血流が豊富で、コラーゲン線維とバンドで形成されます。しかし、 1−2ヶ月で、多くの血管が吸収され、コラーゲン繊維は大きく、高密度になり、瘢痕全体 が収縮します。

この瘢痕収縮が顔のリフトアップとして、現れます。

瘢痕全体の収縮は半年ほどで、緩やかになってきます。これがリフトアップが戻る原因です。

 

contactご予約・お問い合わせ