たるみ【クリニックで受ける最新レーザー治療の進化】
■電磁波による切らないリフトアップ治療
切らないリフトアップ治療はこの先10年・15年後、どのように進化していくのだろうか?
リフトアップレーザーとして括られていますが、正確にはレーザーじゃなくて電磁波になります。
では、顔のリフトアップに求められる電磁波の特徴を考えて見ます。
そのキーワードは皮下の浅い層での精密な空間選択性になります。
つまり狙ったところだけ作用させるということです。
電磁波の波動としての性質を利用して空間的に限定した領域に作用を発生させて治療効果を得ようとする方法としては、放射線療法・光化学療法・電磁的ハイパサーミアなどが 臨床に用いられています。
このうち、光化学療法はPDTとして美容皮膚科の分野で使われているし、ハイパーサーミアの技術RF波はサーマクールとして使われています。
しかし、放射線を除く電磁波は、集束効果を得るために皮下組織5mmよりも十分に波長の短い電磁波だと,生体中の減衰係数が大き過ぎて焦域まで到達する前に減衰してしまい、逆に減衰係数が十分小 さな長波長の電磁波を選ぶと、その波長が人体の厚み以上となり、集束効果が得られなくなってしまうという難点があります。
また、放射線は波長が短く、減衰係数も小さいが、コヒー レントな集束が現在の技術では不可能であります。
以上の理由から現状では超音波の優位性は明らかなのです。
超音波は、皮下組織の3−8 mmの深さに対して、波長は1桁小さく、その厚みを伝搬する間の減衰が1桁程度と適切であるため、皮下組織の浅い層において精密な治療域のコントロールが可能になります。
次に現状での他の電磁波の可能性及び、未来への可能性を考えましょう。
いかに、技術が進もうとも、人体の減衰係数と波長はもちろん変わることはない。
まず、
①サーマクールに代表されるRF波の可能性
RFには最大の欠点があります。それは骨の近くで、波が集束しやすいという問題です。これはRF波の特性でもあるので、痛みの軽減は難しいでしょう。
②マイクロ波
マイクロ波の美容医療での応用はすでに始まっています。
ミラドライというわきが治療で用いられるものです。
これはマイクロ波が水分を含む部位で起きるランナウェイ現象を応用しています。
この理論はわきに限らず、顔での治療も可能と考えられます。
③放射線の可能性
放射線のような波長が小さい電磁波は1分子あたりのエネルギーが非常に高く、収束させずとも、タンパク質を変性させることができる、と言うよりさせてしまう。
がん治療ならいざ知らず、美容のために使用するというのは考えにくい。
以上を踏まえて考えると、
これからのたるみ治療で使用される電磁波は
超音波とマイクロ波が主流になっていくと予想しています。